リスカ - 解離性障害の彼女 5
2010年12月14日 恋愛-前回の続き
ほとんど会話もないまま、ベッドルームへ入った。
ボクは本能のおもむくまま、彼女の衣服を取り去り、小さな肢体を露わにした。
彼女は抵抗することなく、すべてをボクにゆだねていた。
しばらくすると、彼女が抵抗しないだけでなく、何の反応も示していないことに気がつく。
体を起こして顔をのぞく。
まつげが涙で濡れていた。
「どうしたの?」
「・・・ろして」
「え?」
「殺して・・・」
「私を殺してよ・・・」
言葉を失うボクに、彼女は続ける。
「死にたいのよ、私」
「生きてる意味なんてないの」
「もう、存在していたくない」
「ねぇ、殺してよ」
「ケンゴさんならできるでしょ?」
「消えてしまいたいの・・・」
うつろな目をしながら、うったえかける彼女は、いまはボクの腕の中には存在せず、どこか遠くにいるように感じた。
静寂のなか、彼女の嗚咽が聞こえる。
目尻からあふれる涙が、枕カバーに染みを作った。
思いもよらない事態に当惑する。ボクは深く呼吸をして、できるだけ冷静になるようにつとめた。
しばらくして、ボクは彼女の目を見て言った。
「わかった、殺してあげる」
「1千万円用意できれば、そうする」
驚きの表情をのぞかせる彼女にボクは続ける。
「ボクは殺人犯になって刑務所に入る気はないよ」
「そのために証拠を完全に消して、死体を完璧に処分するには、それなりにお金が要る」
「ボクのリスクとかも含めたらそのくらいが妥当だと思う」
「現実」を見失った相手には「とことん現実的」な話をしてみよう。と咄嗟に思いつき、ボクはこう言っていた。
突飛な要求に、とまどう彼女。
「そんなお金・・・あるわけ・・・」
そして、彼女は火がついたように激昂した。
「じゃあ、もう出て行って!」
「殺してくれないんだったら、ここにいる意味ない」
「出て行ってよ!早く!」
彼女は、枕に顔を伏して泣き崩れた。
ボクは所在なくベッドルームを出て、リビングのソファに座った。
どうしてこんなことになったのだろう。
彼女に出会ってから猫の目にように変化する状況に、ボクの頭は、正直ついていけていない。
まず、この状況をどうすべきか考えるが、答えは出なかった。
ベッドルームから声がするので聞き耳を立てていると、こんな深夜でも「彼」からの電話があったようで、彼女が応じていた。
涙声で応じたのを心配したのか、その後も何度か電話があり、彼女が応じる声が聞こえた。
しかし、しばらくすると何の物音もしなくなった。
衣服を取りにベッドルームへ戻る。彼女はすでに寝息を立てていた。
静かに、彼女の部屋を後にした。
もう空が、少しずつ白みはじめている頃だった。
後日に続き。
ほとんど会話もないまま、ベッドルームへ入った。
ボクは本能のおもむくまま、彼女の衣服を取り去り、小さな肢体を露わにした。
彼女は抵抗することなく、すべてをボクにゆだねていた。
しばらくすると、彼女が抵抗しないだけでなく、何の反応も示していないことに気がつく。
体を起こして顔をのぞく。
まつげが涙で濡れていた。
「どうしたの?」
「・・・ろして」
「え?」
「殺して・・・」
「私を殺してよ・・・」
言葉を失うボクに、彼女は続ける。
「死にたいのよ、私」
「生きてる意味なんてないの」
「もう、存在していたくない」
「ねぇ、殺してよ」
「ケンゴさんならできるでしょ?」
「消えてしまいたいの・・・」
うつろな目をしながら、うったえかける彼女は、いまはボクの腕の中には存在せず、どこか遠くにいるように感じた。
静寂のなか、彼女の嗚咽が聞こえる。
目尻からあふれる涙が、枕カバーに染みを作った。
思いもよらない事態に当惑する。ボクは深く呼吸をして、できるだけ冷静になるようにつとめた。
しばらくして、ボクは彼女の目を見て言った。
「わかった、殺してあげる」
「1千万円用意できれば、そうする」
驚きの表情をのぞかせる彼女にボクは続ける。
「ボクは殺人犯になって刑務所に入る気はないよ」
「そのために証拠を完全に消して、死体を完璧に処分するには、それなりにお金が要る」
「ボクのリスクとかも含めたらそのくらいが妥当だと思う」
「現実」を見失った相手には「とことん現実的」な話をしてみよう。と咄嗟に思いつき、ボクはこう言っていた。
突飛な要求に、とまどう彼女。
「そんなお金・・・あるわけ・・・」
そして、彼女は火がついたように激昂した。
「じゃあ、もう出て行って!」
「殺してくれないんだったら、ここにいる意味ない」
「出て行ってよ!早く!」
彼女は、枕に顔を伏して泣き崩れた。
ボクは所在なくベッドルームを出て、リビングのソファに座った。
どうしてこんなことになったのだろう。
彼女に出会ってから猫の目にように変化する状況に、ボクの頭は、正直ついていけていない。
まず、この状況をどうすべきか考えるが、答えは出なかった。
ベッドルームから声がするので聞き耳を立てていると、こんな深夜でも「彼」からの電話があったようで、彼女が応じていた。
涙声で応じたのを心配したのか、その後も何度か電話があり、彼女が応じる声が聞こえた。
しかし、しばらくすると何の物音もしなくなった。
衣服を取りにベッドルームへ戻る。彼女はすでに寝息を立てていた。
静かに、彼女の部屋を後にした。
もう空が、少しずつ白みはじめている頃だった。
後日に続き。
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